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「感動を提供して、心に一滴の潤いを」ジーンハート株式会社 井村様インタビュー

ジーンハート株式会社 代表取締役社長 井村 哲郎様



日本の短編映画に特化した配信サービス“ジーンシアター”や、姉妹サービスとなるミニシアター系・短編映画系の情報を発信するメディアサイト“日本映画オンライン”を運営するジーンハート株式会社様。同社の代表取締役社長を務める井村様は「短い時間で心を揺さぶる体験を提供したい」という思いを胸に、それまで勤めていた大企業を退職した後、クリエイター支援にも繋がる独自のビジネスモデルを構築しています。


今回のインタビューでは、井村様がなぜ短編映画に注目したのか、その背景やビジョンを詳しく掘り下げるとともに、スタートアップがシステム開発を進める上での難しさと、どのようにプロジェクトを成功へと導いたのか、その道のりをご紹介します。


 

― 国内短編映画の配信プラットフォームを立ち上げようと思ったきっかけや目的は?

 

とにかく映画が大好きだったから。それが理由です。映画って、人の心を揺さぶったり、感動を与えたり、良い気分転換になったりする特別な力があると思うんですよ。

 

でも、私自身も仕事が忙しくなるにつれて、映画を見る機会が減ってきてしまって…。配信サービスは充実してきましたが、1本の映画を見るために2時間を確保することが難しくなってきたんです。そんな時にコロナ禍で家にいる時間が増えて、短編映画をよく見るようになったことが、本事業を始めるきっかけになりました。

 

この事業には、2つの大きな目的があるんです。

1つは、短編映画をもっと身近なものにして、新しいエンターテインメントとして気軽に楽しんでもらいたいということです。YouTubeやTikTokで1分ほどの短い動画を見る文化はかなり定着していますが、10分や20分といった短編映画を観る文化は、日本ではまだあまり普及していません。映画が持つ感動や気分転換の体験を、もっと手軽に味わえるようになってほしいと思っています。

 

もう1つは、クリエイター支援です。YouTubeなどのプラットフォームで、多くの人が作品を発表できるようになってきましたが、クリエイター達が労力に見合った対価を得るのは未だに難しい。勿論、バズることで稼げている人たちもいるかもしれないけど、良いコンテンツや、そのコンテンツを作る労力に見合うような対価が、真面目に取り組んでいるクリエイター達に行き渡る世界にはまだなっていない。良い作品を作るためには、クリエイターを支援することが必要不可欠です。そこで、一般の人々には短編映画を楽しんでもらいつつ、クリエイターにはしっかりとサポートを提供する。この2つの目的をもって事業を始めたんです。

 

 

―クリエイター支援・紹介という切り口はとても興味深いです。井村様も元々映画を見たり、撮ったりすることが好きだったのでしょうか?

 

自分で映画を撮ることはなかったんですが、とにかく観るのが好きでした。私が「これいいな」と思った映画を人に勧めると「良かったよ」と喜ばれることが多くて、いつの間にか友人から「いい映画を教えてよ」と頼まれることも増えました。自分では作品を作ってはいませんが、「観る力」や「良い映画を見つける力」は養われてきたと思います。

 

有名な映画だけじゃなく、ちょっとマニアックな作品も結構見てきましたね。学生時代はメジャーな映画が多かったんですが、ミニシアター系の映画も観ていました。

 

今のサービスにも新しい監督を見つけて紹介するような役割があります。世間にまだ知られていない作品を紹介するのが好きなんですよ。

 

元々大きな企業で新規事業を手がけてきた中で、マーケットを作るというのが自分にとってやりがいのあることでした。流行に乗って既に成長している市場でビジネスを展開するほうが簡単ですが、私はそれよりも何もないところからマーケットを作る方が興味を持てるんです。今回の短編映画配信事業も、その延長線上にあるものですね。

 

 

― 大企業からスタートアップを起業というキャリアだと、同じ新規事業というフィールドでも仕事の進め方にかなりの変化があったのでは?

 

大企業と自分で事業を進めることの違いは大きいですね。大企業ではすべての意思決定について、最終的には組織の承認を得る必要がありますが、自分でビジネスを始めると、あらゆる決断をすべて自分で責任を持って行うことになります。

 

お金の問題もあります。大企業では赤字でも固定給が保証されていましたが、今は赤字になれば自分の給料を減らさなければいけません。まさにビジネスをやっているという実感があります。

 

起業するのは心理的にもハードルが高いものでした。家族の理解を得ることにも時間がかかりましたね。でも、人生がもっと長くなる中で、75歳、80歳になっても働きたいと思ったとき、企業に属するよりも自分のビジネスを持っていた方がいいんじゃないかと思ったのが決め手になりました。積み上げてきたキャリアを自分の意思でコントロールしたいという思いもあります。やっぱり、やりたいことをやるのが一番ですから。

 

今、好きな映画の仕事ができているのは本当に充実しています。短編映画やメディアサイトを通して、日本映画の情報発信の仕事ができているので、やりがいを感じています。

 

 

― 貴社サービスの強み・アピールポイントは?

 

クリエイターの支援に関しては、うちはおそらく日本で一番力を入れている会社だと思います。契約する監督さん全員とオンラインで打ち合わせをして、こちらの趣旨を理解してもらうとともに、お互いにどんな人かを知った上で契約しています。

 

配信以外でも監督さんをサポートしています。例えば、宣伝のお手伝いであったり、上映会やケーブルテレビやローカル局で短編映画を放送してもらうような取り組み等。こういった多方面でのサポートには自信があります。

 

そして、観る側のユーザーにとっても、ただの短編映画配信サービスとは一線を画すサービスであると自負しています。面白い作品を集めることに加えて、「ジーンシアター」という名前の通り、ジーンとくる映画を通じて心を揺さぶる体験を提供することに拘っています。例えば、癒されたいときはこの作品、元気になりたいときはこれ、昔を思い出してほっこりしたいときはこれ、というように、気分に合わせて観たい映画を選べるようなサイトデザインとなっています。

 

そして、日本の短編映画だけを専門に配信しているサブスクリプションサービスは、うちだけです。国内の短編映画の作品数もかなりの数を揃えているので、色々な作品を楽しんでいただけると思います。

 




 


― 元々、弊社が本件の開発を受託する以前に、別の開発会社様と開発を進められていたと伺っております。

 

はい。以前は大企業にいたので、システム開発には潤沢な予算があり、実績のある会社に発注していましたが、今回はスタートアップ企業のサービスなので予算も限られ、実績がまだあまりない会社にお願いをしました。

さまざまな点で、こちらの意思疎通がうまくいかないこともあったのですが、満足いく開発でなかったと思いました。

小規模な予算でうまく進めてくれるパートナーを見つけるのは本当に難しいなと感じました。

 


― そのようなトラブルの中で開発会社の切り替えに踏み切り、結果弊社に発注を頂きました。

 

そうですね。元々アルジェントテクノロジーには以前にも提案を頂いていたのですが、その時は価格重視の選定だったこともあって、先述の開発会社に発注となりました。

その際にアルジェントテクノロジーにはお断りの連絡をしたのですが、その時に、営業担当の方が「少しでも下げられるように頑張ります」と、メールでやり取りを重ねてくださったんです。その姿勢に「この会社は本気で応じてくれるんだ」と感じました。

 

その当時、実は7、8社ほど他の会社ともやり取りしていたのですが、「金額が高いですね」と伝えると、ただ「そうですか」と言うだけの会社もあったんです。でも、アルジェントテクノロジーは、「これ以上は難しいですが、この金額でいかがでしょう」と、誠実な提案をしてくれました。そういう熱意のある姿勢に好印象を抱いたのを覚えています。

 

そのため、先述の開発会社とのプロジェクトが途中で行き詰まった際、こちらから声をかけてアルジェントテクノロジーに再度お願いしました。

決め手になったのは、オンラインでの打ち合わせの際に代表の赤瀬さん、CTOの糸山さん、営業責任者の大山さんの3人が揃って参加してくれたことです。皆さんが揃って、しっかり話を聞いてくれて、「難しいことは難しい」と正直に伝えてくれるその姿勢には、とても安心感がありました。

 

 

― ありがとうございます。大変励みになります。その後、実際に弊社とプロジェクトを進めて頂いた感覚としてはいかがでしょうか?

 

非常に満足しています。過去大企業にいたときにお付き合いをしていた大規模ベンダーとのプロジェクトと比較しても、しっかりと仕事をしてくれるという印象を持っています。例えば、こちらが「こういう課題があって、こう解決したい」と伝えた際、作業的に仕事を進めるのではなく、「その課題を解決するなら、こういう方法はどうでしょう?」といった提案を常にもらえるのはとてもありがたいです。

また、突発的に「予算はあまりないけど、これを作れますか?」と相談した際も、予算に応じた提案をしてくれたりします。ビジネスとして利益を確保しながらも、こちらの状況に合わせて適切な提案をしてくれる姿勢を気に入っています。

 

前の開発会社とのプロジェクトで懸案だったスケジュールの部分についても、勿論きちんと守ってくれており、安心しています。

 

デザインの再現等、多少の修正が必要になることはありますが、それも伝えればきちんと対応してくれるので、大きな問題ではありません。

 

加えて、特に感謝しているのは、新規の発注ではなく、他の会社が作ったものを修正してもらう、という難しい要望を快諾頂けたところです。その際、予算に関する問題もありましたが、使用できる部分は最大限に活用し、使えない部分は適切に作り直す、といった仕分けをしながら進めてくれる姿勢に顧客本位を感じました。単に延命措置ではなく「ここは修正して使い続けるけど、ここは作り直すべき」といった的確な提案をしてくれるのが助かっています。

 

非常に心強いパートナーとして支えられています。ありがとうございます。

 

 

― こちらこそありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします!少し話題は変わりますが、ジーンシアターの今後のサービス展開についてお伺いできますでしょうか?

 

これからも開発を続け、サービスを向上させていきたいと思っています。特に、ユーザーのニーズを満たしながらビジネスをさらに成長させることが目標です。

 

具体的には、サブスクリプションサービスの加入者数をさらに増やし、利益を安定させるとともに、ユーザビリティ向上や良質な作品数の充実のために投資をしながら、顧客満足度を高めていきたい。

 

長期的には、常に使いやすく改良を重ねていくことで、利用者にとっての価値をより高めていきたいと考えています。

 

 

― 最後に、本記事をご覧になる皆様に対して、メッセージをお願いいたします。

 

短編映画をもっと身近なものにし、クリエイターたちが成長できるよう支援することは、当社の大きな使命です。短編映画は人の感情を揺さぶります。笑ったり泣いたり、恐怖を感じたりと、さまざまな感情を引き出せるのがその魅力です。

 

エンタメが大量消費される現代ですが、エンタメは本来は人の心を豊かにするものだと信じています。

 

映画館に行かなくても、スマホで短時間で観られる、そんな作品を提供するのが私たちのサービスの特徴です。サービス名の「ジーンシアター」は、感動を呼び起こす作品を集めた劇場を意味しています。ジーンとくる映画を通じて、人々の心を豊かにしたいと願っています。

 

起業家としては、先ほどお話ししたようにマーケットを作ることに喜びを感じます。市場を作ることは非常に重要です。試行錯誤をしながら、「作れるかどうか」ではなく「作るんだ」という気持ちで進んでいくことが大切だと感じています。

 

その上で、ビジネスを成功させようとすると、私たちのようにエンジニアを社内に抱えていない会社にとっては、やはり良いパートナーとの出会いが非常に重要です。アルジェントテクノロジーもそうですが、他の取引先も含め、良いパートナーを見つけることがビジネスを成功させる要因だと思っています。

 

多くのトラブルもありましたが、最終的にアルジェントテクノロジーと出会えたことを本当に嬉しく思っています。ぜひこの記事を読んでいるみなさんも素晴らしいパートナーを見つけてください。

 


― ありがとうございました!

 

(聞き手: アルジェントテクノロジー 大山 俊徳)




 

お話をお伺いしたお客様: ジーンハート株式会社 

代表取締役社長 井村 哲郎様

 

コーポレートサイト: https://geneheart.com/

国内短編映画配信サービス ”ジーンシアター”: https://genetheater.jp/

メディアサイト “日本映画オンライン” : https://media.genetheater.jp/


株式会社アルジェントテクノロジー
会社ロゴ

東京都渋谷区恵比寿二丁目28番10号 Shu BLDG 2920

代表取締役    赤瀬太一
取締役    糸山浩太郎、大山俊徳
主な事業内容    システム設計・開発、技術研究、戦略・経営・技術コンサルティング

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